醸造アルコールで頭痛が起きる?原因や翌日に残さない日本酒の選び方

日本酒を飲んだ翌日に、ズキズキとした頭痛に悩まされた経験はありませんか。「醸造アルコールが入っているお酒は頭が痛くなりやすい」という話を耳にすることもありますが、その正体や原因を正しく知ることで、自分に合った楽しみ方を見つけられます。今回は、頭痛と日本酒の関係や、体に優しい選び方のコツを詳しくお伝えします。

目次

醸造アルコールで頭痛が起きると言われる理由を整理する

醸造アルコールそのものが悪者だと思われがちですが、実は日本酒の品質を整えるために重要な役割を果たしています。しかし、なぜ「頭痛」のイメージと結びついてしまったのでしょうか。まずは醸造アルコールの正体と、体にどのような影響を与える可能性があるのかを整理してみましょう。

醸造アルコールの役割と日本酒の分類

醸造アルコールとは、主にサトウキビなどを原料とした糖蜜を発酵・蒸留して作られる、純度の高いエタノールのことです。これを日本酒に添加する理由は、単に「量を増やすため」だけではありません。香りを引き立てたり、味わいをスッキリとキレのあるものにしたり、さらには腐敗を防いで品質を安定させたりといったメリットがあります。

日本酒は、この醸造アルコールの有無で大きく2つに分類されます。お米と米麹、水だけで作られるのが「純米系(純米酒、純米吟醸など)」、醸造アルコールを添加して作られるのが「本醸造系(本醸造、吟醸、大吟醸など)」です。

かつて、戦後の米不足の時代に「三倍増醸酒」と呼ばれる、醸造アルコールや糖類を大量に加えた安価なお酒が流通していたことがありました。その頃の質の低いお酒を飲んで体調を崩した経験が、上の世代から語り継がれ、「アルコール添加酒=体に悪い、頭が痛くなる」というイメージが定着してしまった側面があります。しかし、現在の特定名称酒(吟醸酒や本醸造酒など)に使われるアルコールの量は厳格に制限されており、品質も極めて高いものです。

頭痛の原因はアルコール添加だけではない

お酒を飲んで頭が痛くなる最大の原因は、アルコールが体内で分解される過程で作られる「アセトアルデヒド」という有害物質です。これが血液中に増えることで、血管が拡張され、ズキズキとした頭痛を引き起こします。つまり、純米酒であろうと本醸造酒であろうと、飲みすぎれば等しく頭痛のリスクがあるということです。

また、日本酒には「不純物」とも言える多様な成分が含まれています。これらは複雑で奥深い味わいを生む源ですが、体にとっては一度に多くの成分を処理しなければならないため、負担がかかることがあります。さらに、日本酒に含まれるアミノ酸やアミン類などの成分が、人によっては血管の収縮や拡張に影響し、頭痛を誘発する場合もあることが指摘されています。

醸造アルコールが含まれているお酒は、添加によってアルコール度数が高めに調整されていることが多いため、同じペースで飲むと摂取するアルコール総量が増えてしまいがちです。その結果として、翌日に響きやすくなるという実情もあります。頭痛の原因は一つの成分だけではなく、複数の要因が重なり合っているのです。

自分に合わない飲み方が負担を増やす

どんなに良いお酒を選んでも、飲み方を間違えると体への負担は一気に増してしまいます。特に空腹の状態で日本酒を飲むのは避けなければなりません。胃が空っぽだとアルコールの吸収が非常に早くなり、血中濃度が急上昇するため、肝臓での分解が追いつかなくなります。

また、自分の適量を超えて「つい、もう一杯」と続けてしまうのも大きな要因です。日本酒は口当たりが良いため、ついついペースが速くなりがちですが、実は酔いを感じるまでには時差があります。気づいた時にはすでに分解能力を超えてしまっていることも少なくありません。

さらに、睡眠不足や疲労が溜まっている時に飲むのも危険です。体の代謝能力が落ちているため、普段なら平気な量でもアセトアルデヒドが残りやすくなります。「お酒の種類」を気にする前に、まずは自分の体調を整え、ゆっくりとしたペースで楽しむことが、頭痛を遠ざける最も確実な方法といえます。

症状が出やすい人の共通点をチェックする

日本酒で頭痛が起きやすい人には、いくつかの共通点が見られます。まず、遺伝的にアルコールを分解する酵素の働きが弱いタイプの人です。一口飲んですぐに顔が赤くなる人は、アセトアルデヒドを分解する能力が低いため、有害物質が体に残りやすく、少量でも頭痛が起きる傾向にあります。

次に、喉が渇いた状態で水分を摂らずにお酒を飲み続ける人も注意が必要です。アルコールの利尿作用によって脱水症状が進むと、脳の血管が収縮し、これも頭痛の原因になります。「和らぎ水(合間に飲む水)」を飲まない習慣がある人は、リスクが非常に高まります。

また、味の濃いおつまみや塩分が多いものばかりを好む人も要注意です。喉が渇きやすくなり、ついお酒を水代わりに飲んでしまうため、結果としてアルコール摂取量が増えてしまいます。自分がこれらの条件に当てはまっていないか振り返ってみることで、翌日の不調を未然に防ぐヒントが見つかるはずです。

頭痛が気になる人に選ばれやすい純米系の日本酒おすすめ

「醸造アルコールが苦手」「翌日の体調を優先したい」という方に選ばれている、お米と水だけで丁寧に醸された純米系のお酒を厳選しました。どれも品質が高く、食事との相性も抜群な銘柄ばかりです。

酔鯨 特別純米酒

高知県の酔鯨酒造が手掛ける、キレ味鋭い辛口の純米酒です。お米本来の旨みがありながら、後口が非常にスッキリしているため、食事を楽しみながらゆっくりと飲み進めることができます。

項目内容
原材料米、米麹(国産米100%)
味わい芳醇な香りと、酸味の効いたドライな後口
公式サイト酔鯨酒造株式会社

南部美人 特別純米酒

岩手県の豊かな自然の中で育まれたお酒です。上品な香りと柔らかな旨みが特徴で、一口飲むごとに優しさが伝わってくるような飲み口は、体への馴染みの良さを感じさせてくれます。

項目内容
原材料米、米麹(ぎんおとめ等)
味わいふわっと広がるお米の甘みとキレのバランス
公式サイト株式会社南部美人

田酒 特別純米酒

青森県の西田酒造店が醸す、純米酒の金字塔とも言える銘柄です。醸造アルコールを一切使わない姿勢を貫いており、どっしりとしたお米の旨みを堪能したい方に最適です。

項目内容
原材料米、米麹(華吹雪)
味わい濃厚でコクがあり、かつ洗練された味わい
公式サイト株式会社西田酒造店

一ノ蔵 特別純米酒 辛口

宮城県の一ノ蔵による、スッキリとした飲み口が人気の1本です。お米だけでここまでドライに仕上げた技術力は圧巻で、和食だけでなく幅広い料理に寄り添ってくれます。

項目内容
原材料米、米麹(ササニシキ、蔵の華)
味わい落ち着いた香りと、凛とした辛口の余韻
公式サイト株式会社一ノ蔵

白瀧 上善如水 純米吟醸

新潟県の白瀧酒造が生んだ、水の如く澄み切った日本酒です。純米吟醸ならではのフルーティーな香りと、驚くほど軽い飲み口は、重いお酒が苦手な方にも愛されています。

項目内容
原材料米、米麹(国産米)
味わい華やかでありながら、非常にクリアな喉越し
公式サイト白瀧酒造株式会社

八海醸造 八海山 発泡にごり酒

人気の八海山から、純米ではないものの(※純米タイプもあります)、発泡性の心地よさを楽しめる1本です。シュワシュワとした炭酸が脂っぽさを流し、リフレッシュしながら楽しめます。

項目内容
原材料米、米麹、醸造アルコール(※純米にごりもあります)
味わいクリーミーな口当たりと、爽快な泡の刺激
公式サイト八海醸造株式会社

頭痛を避けたいときの選び方と飲み方のコツ

お酒の種類だけでなく、買い方や飲み方のちょっとした「マナー」を守ることで、頭痛のリスクを大幅に減らすことができます。長く健康に日本酒を愛し続けるために、今日から実践できるポイントを確認しておきましょう。

原材料表示で見分けるポイント

日本酒のボトルには必ず原材料名が記載されています。頭痛が気になる方は、まずはここをチェックする習慣をつけましょう。「米、米麹」とだけ書かれているのが純米酒です。一方、「米、米麹、醸造アルコール」と書かれているものはアルコール添加酒です。

また、「特定名称酒(純米酒、吟醸酒、本醸造酒など)」と書かれたお酒を選ぶのも重要です。これらは原料の割合や製法に厳しい基準があるため、質の悪いアルコールが大量に使われている心配がありません。

逆に、原材料に「糖類」や「酸味料」といった表記がある安価な普通酒は、味を整えるために多くの添加物が使われている場合があり、分解に負担がかかる可能性があります。ラベルの情報を正しく読み取ることで、自分の体質に合ったクオリティの高い1本を選べるようになります。

体調と温度帯で相性が変わる

意外と見落とされがちなのが、飲む時の「温度帯」です。冷たすぎる冷酒は、喉越しが良いためついつい飲みすぎてしまう傾向があります。また、胃腸が冷えることで消化・吸収のバランスが崩れやすくなることもあります。

頭痛を気にするなら、常温(冷や)や、人肌程度の「ぬる燗」で楽しむのがおすすめです。温度が上がるとお酒の香りが立ちやすくなり、一口の満足度が高まるため、自然と飲むペースがゆっくりになります。また、温かいお酒は体への吸収が穏やかで、酔いを感じるタイミングと実際に飲んだ量が一致しやすいため、飲みすぎ防止にも繋がります。

もちろん、夏の暑い日に冷酒を楽しむのは最高ですが、その際も「一気に飲まない」ことを意識するだけで、体への優しさは大きく変わります。体調が優れない時は無理をせず、温めて少しずつ嗜むといった使い分けを心がけましょう。

チェイサーとつまみで負担を減らす

日本酒を嗜む上で最も大切なパートナーは、実はおつまみではなく「水(和らぎ水)」です。日本酒と同じ量、あるいはそれ以上の水を交互に飲むようにしてください。これは血中のアルコール濃度を薄めるだけでなく、脱水を防ぎ、肝臓の分解を強力にサポートしてくれます。

おつまみに関しては、枝豆や冷奴などの「たんぱく質」、またはお刺身などの「良質な脂質」を意識して摂るのがコツです。これらは胃に留まる時間が長く、アルコールの吸収を緩やかにしてくれます。また、肝臓の働きを助けるオルニチンを多く含む「しじみ汁」を最後に飲むのも非常に効果的です。

空きっ腹でお酒を流し込むのではなく、常に何かを胃に入れながら、水と一緒に楽しむ。この「三角飲み」を徹底するだけで、翌朝の目覚めは見違えるほどスッキリとしたものになるはずです。

翌日に残しにくい飲む量の目安

最後に、適量の目安について知っておきましょう。厚生労働省が示す「節度ある適度な飲酒量」は、1日平均で純アルコール20g程度とされています。これは日本酒に換算すると「約1合(180ml)」です。

もちろん体格や体質によって個人差はありますが、1合から2合程度に抑えておくのが、翌日に頭痛を残さないための一般的な安全圏といえます。特に、日頃から頭痛が起きやすいと感じている方は、まずは1合をじっくり味わうスタイルに切り替えてみてはいかがでしょうか。

「たくさん飲むこと」よりも「いかに美味しく、気持ちよく終われるか」に重きを置くのが、大人の日本酒の楽しみ方です。自分の限界を見極め、それを超えない自制心を持つことこそが、最高のおつまみになります。

体に合う日本酒を無理なく楽しむためのまとめ

醸造アルコールそのものが直接的な頭痛の犯人というわけではありませんが、自分の体質や飲み方に合っていない場合に不調を招くことはあります。お米と水だけで作られた純米酒を選んだり、和らぎ水をこまめに摂ったり、温度を変えてみたりと、工夫できるポイントはたくさんあります。

「日本酒は翌日が怖い」と敬遠するのではなく、正しい知識を持って向き合えば、これほど豊かで素晴らしい飲み物はありません。酔鯨や田酒といった信頼できる銘柄を、最高のコンディションで、ゆっくりと味わってみてください。自分の体からのサインを大切にしながら、無理のない範囲で日本酒の深い世界を堪能していきましょう。

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この記事を書いた人

日本酒がとにかく大好きで、気づけばラベルを見るだけでワクワクしてしまいます。蔵ごとの個性や、米・酵母・麹の選び方で香りや余韻がどう変わるのかなど酒造りの工程を調べるのが大好きです。華やかな香りの大吟醸から、食事が進む純米酒、世界のワインまで、「今日はどのお酒を飲もう」と毎日の選ぶヒントになる情報を発信していきます。

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